2024年07月17日 テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは
タイトル:テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは
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テニスのナダルが全仏1回戦で敗退、今年が最後か(2024.5.28 BBC NEWS JAPAN)
テニス男子で長年活躍し、けがで長期休養していたラファエル・ナダル(37、スペイン)が27日、パリで開催中の全仏オープンの復帰戦に臨んだ。この大会14回優勝を誇るナダルだが、第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(27、ドイツ)にストレート負けし、1回戦で姿を消した。ナダルにとって最後の全仏になった可能性もある。ナダルはかつて、パリのローラン・ギャロスのクレーコートでほぼ無敵だった。グランドスラム(4大大会)の優勝回数は通算22に上り、世界ランキングも1位に上り詰めた。
しかし、けがの影響でここ1年半ほとんどプレーしていなかった。ランキングは直近で275位に低下。今年の全仏は初めてノーシードで臨んだ。この日は以前のような高いレベルでのプレーをよみがえらせることはできず、好調なズべレフに6-3、7-6 (7-5)、6-3で敗れた。
テニスの4大大会の1つ全仏オープンが5月26日より行われています
今大会の注目選手は、最後の全仏となる可能性を示唆していたナダル選手でしたが、初戦敗退となりました。
ナダル選手の全仏オープンの戦歴ですが、116戦して4敗しかしておらず(勝率9割6分超)、全仏のコートにちなんで赤土の王者(クレーキング)と呼ばれています。
男子テニス界のビック4と呼ばれた戦績が突出している4選手(フェデラー、ナダル、マレー、ジョコビッチ)の一人であるナダル選手ですが、昨年左股関節の故障により長期離脱していました。
度重なる故障を乗り越えてきたナダル選手も、37歳という年齢を考えると完全復活は厳しいのかもしれません。なお、ビック4のマレー選手や日本の錦織選手もナダル選手と同様、左股関節の損傷により手術を受けています。
今回はテニスによる怪我について少し解説したいと思います。
テニスによる怪我として有名なのは「テニス肘」です。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。正式には上腕骨外側上顆炎と呼びます。中年以降のテニスプレイヤーに生じやすく、肘の外側から前腕にかけて痛みが現れます。手首を動かす動作を繰り返し行うことによる健へのストレスが原因と言われています。
上腕骨外側上顆炎の病態と主な治療について
病態
上腕骨外側上顆炎とは短橈側手根伸筋腱の付着部に慢性的な牽引ストレスがかかり、腱線維の変性と微小損傷が生じます。炎症反応が持続し、腱付着部の骨棘形成や腱の肥厚、石灰化などの変化が起こります。手関節伸展時の疼痛が主症状で、安静時痛は軽度です。
診断
- 理学的検査では、肘外側の圧痛と手関節伸展時の疼痛が特徴的です。
- 画像診断では、X線で骨棘形成、エコー検査での評価、MRIで腱の変性や炎症所見を確認できます。
保存療法
- 安静、冷却療法、NSAIDs外用薬による抗炎症治療
- リハビリ:電気・レーザー・超音波等の物理療法、手関節・指関節のストレッチや筋力強化
- 装具療法:肘関節装具の使用
- 日常生活指導
注射療法
- ステロイド注射:腱付着部への局所注射で抗炎症効果
- 瘢痕、癒着組織へのハイドロリリース
- PRP(platelet-rich plasma)注射:自家血小板濃縮液の注入で組織修復を促進
手術療法
- 保存療法に抵抗性の難治例に対して実施
- 腱付着部の剥離、骨棘切除、腱板の修復などを行う
上腕骨外側上顆炎は、スポーツ活動や重労働に伴う手関節伸展動作の反復使用が主因となる疾患です。保存療法に抵抗性の症例に対しては、ハイドロリリース注射、ステロイド注射やPRP療法、さらには再生医療など、最新の治療法を組み合わせることで良好な成績が期待できます。
当院で行っている最近治療について
PRP療法
近年、上腕骨外側上顆炎の治療にPRP(platelet-rich plasma)療法が注目されています。
- 患者さん自身の血液から採取した血小板を濃縮し、注射することで、腱の修復を促進する治療法です。
- 保存療法に抵抗性の症例に対して有効な治療法として期待されています。
体外衝撃波治療(当院では拡散型を設備)
体外衝撃波治療は、体外から発生させた強い圧力波(衝撃波)を患部に照射する新しい治療法です。衝撃波が組織に作用することで、以下のような効果が期待できます:
- 神経線維の変性による鎮痛効果
- 新生血管の形成促進による組織修復促進
- 石灰化病変の分解
適応疾患
- 足底腱膜炎
- 上腕骨外側上顆炎
- 膝蓋腱炎
- アキレス腱炎
腱付着部炎 など、慢性的な筋腱付着部の炎症性疾患が主な適応となります。
体外衝撃波治療には、主に2つのタイプがあります。
拡散型
- 衝撃波が広範囲に広がるように照射される
- 比較的広い範囲に均一なエネルギーを与えることができる
- 腱炎などの広範囲の病変に適している
収束型
- 衝撃波が特定の焦点に集中するように照射される
- 高エネルギーを狭い範囲に集中できる
- 腱付着部炎などの局所的な病変に適している
- 拡散型と比べて10倍以上のエネルギーを照射できる
適応疾患の違い
拡散型は、テニス肘やアキレス腱炎などの腱の痛みに有効
収束型は、腱付着部炎などの局所的な病変に適している
テニス肘は、肘と前腕に症状のある頚椎神経根症状、後骨間神経の絞扼、凍結肩を代償する同側肘の過用、腕頭関節の変形と骨軟骨炎、肘筋の炎症と浮腫、感染・炎症・変形性肘関節症等と同様の症状があり鑑別診断が難しいと言われています。
適切な診断と治療を行わないと痛みが慢性化し、治療に長い年月がかかってしまうこともありますので、なるべく早いうちに医師に相談し、治療を進めていくことが大切です。
お困りの症状がある時は当院へぜひ一度ご相談ください。
下記日整会サイトも御参照下さい
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html
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