2025年01月12日 PRP治療について
PRP(Platelet Rich Plasma)の略語で多血小板血漿と訳され、美容外科やスポーツ医学で行われている再生医療のひとつです。PRP療法は、成長因子を含む血小板濃縮液を患部に注射することで、組織の修復や再生を促進する治療法です。再生医療の一環として、以下のような疾患に適応されることが多く、その効果が期待されています。
当院では2023年度から行っている治療となりますが、どのような方に効果があるかなどを簡単ではありますが、お伝えします。
PRPの効果とは?
- 痛みの軽減 PRPに含まれる成長因子が炎症を抑え、痛みを軽減。
- 軟骨の保護と修復 軟骨細胞の増殖促進やコラーゲン生成をサポート。
- 回復期間の短縮 組織修復を促し、スポーツ復帰や日常生活復帰を早める。
- 機能改善 関節可動域の拡大、筋力回復の促進。
なぜ痛みを抑えるのか?
痛みを抑えるだけではなく、痛みの原因となる損傷組織を修復させる成長因子成分が豊富に含んでいるため、従来の治療よりも損傷組織の回復が見込まれます。
PRP治療の種類について
APS療法とPFCーFD療法の二つがあります。※当院ではPFCー FD療法を導入しています。
APS療法(血液から炎症を抑えるタンパク質や成長因子を抽出して、関節内に注射する)
血液を採取し,全血液を遠心分離し,従来の PRP を採取する.もう 1 回遠心分離して脱水,濾過操作を加えることで,PRP から高濃度の成長因子を採取する.白血球を含有しており, I抗炎症性サイトカインを高濃度含んだ APS が得られる.血液採取から 1~2 時間で作製できるため,同日に,採血から関節腔内注入を外来処置として行う。
PFCーFD療法(血液から炎症を抑えるタンパク質や成長因子を抽出して活性化・濃縮し、フリーズドライ化して、関節内に注射)
APSとは異なり、当院では採血後は提携企業に郵送し、3週間後に患部に関節腔内注入を外来処置として行う。
適応について
変形性関節症、腱障害、靭帯損傷、スポーツ障害、関節リウマチ、慢性疼痛など痛みを抱えている方を対象に多岐に渡ります。特に変形性膝関節症の臨床報告が多い状況ではあります。変形性膝関節症の治療の考え方について紹介します。変形性膝関節症についてはこちらの投稿も参考にしてしてください。https://www.88clinic.jp/disease/
従来の治療では主にヒアルロン酸注射を関節腔注射することで、関節の潤滑性を改善するといわれており,関節軟骨に対する変性抑制作用を変性軟骨に対する親和性といった作用があります。また疼痛・炎症に対する作用メカニズムとして,PGEや COX―2の抑制といった報告もあるため一定の効果も報告されています。
ヒアルロン酸注射の効果が薄く、日常生活に支障が出たり、痛みにより生活の質が低下している場合、手術療法も選択肢となります。しかし、仕事や家族の都合により手術が困難な患者様を外来診療では非常に多いと感じています。人工膝関節全置換術の場合、術後の耐用年数は個人差はありますが15年〜20年であり、再置換術をするケースもあります。
これらの点から、ライフスタイルに応じて様々な治療の選択肢があると考えています。
ヒアルロン酸注射で効果が乏しく、手術を希望しない・出来ない場合の治療の選択肢としてPFCーFC療法が位置付けられています。
効果について
変形の程度や損傷の程度に個人差はありますが、変形の程度が重度の方が効果が低い報告が多多い現状ではあります。50〜70%の方が痛みの軽減し、一回のみでなく複数注射することで効果が高まるケースもあります。レントゲン評価やMRI評価、理学療法評価など多角的視点からPFDー FD治療の効果が得られるかの判断が重要となります。
投与後について
投与後はリハビリが重要とされています。関節内の再生能力が回復を妨げないような、生活指導や筋力増強など状態や機能に応じたプログラムが必要になります。ヒアルロン酸注射を定期的に継続することで効果が向上する報告も最近増えています。
関節への力学的負荷が多いような歩き方であれば、疼痛を再発する可能性が高いため、理学療法士による歩行評価や指導、必要によっては機能的なインソールなどで補正する選択肢も重要です。
PFCー FDについてご紹介いたしましたが、ご不明な点はスタッフまでお声がけください。
2月28日に健康教室を開催予定です。内容は当院のPFCー FDを担当していただいているセルソース株式会社様と当院リハスタッフでPRP治療の説明と運動療法について開催する予定です。
- 前の記事 : 医療DX推進体制整備加算に関わる掲示について
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