城下やえがき整形外科

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2024年11月03日 肩関節脱臼について

大谷翔平選手が所属するドジャーズも遂にワールドシリーズに王手をかけました。第2戦7回の盗塁時に左肩を亜脱臼し、球場や日本中が騒然としました。

肩関節脱臼は、スポーツや日常生活の中でよく見られる怪我の一つです。特に、接触の多いスポーツや転倒時に起こりやすく、肩関節の構造的な問題を引き起こすことがあります。本日は、肩関節脱臼の基本的な理解から、症状、診断、治療、予防方法まで詳しく解説していきます。

肩関節脱臼とは

肩関節脱臼とは、上腕骨が肩甲骨の関節窩から外れてしまう状態を指します。肩関節は非常に可動域が広く、球状の構造を持っていますが、その分脱臼が発生しやすいのが特徴です。脱臼には、前方脱臼と後方脱臼の2つの主なタイプがあります。前方脱臼が最も一般的で、通常は腕を外側に回したり、倒れた際に手を伸ばしたときに発生します。ちなみに亜脱臼は、関節の骨が部分的にずれている状態です。また受傷分類として外傷性肩関節脱臼と反復性肩関節脱臼があります。

image0肩関節脱臼の症状

肩関節脱臼の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 痛み : 脱臼した瞬間に強い痛みが走ります。
  • 動かせない : 肩を動かすことができない、または非常に困難です。
  • 変形 : 肩の形が変わっているように見えることがあります。
  • 腫れ : 脱臼部位が腫れ上がることがあります。

脱臼が発生した場合、これらの症状が見られるでしょう。特に、激しい痛みが続く場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。

肩関節脱臼の診断方法

肩関節脱臼の診断は、医師による身体検査や画像診断が基盤となります。具体的には、以下の方法が一般的です。

  1. 視診と触診 : 医師は肩の位置や変形を確認し、痛みの部位を特定します。
  2. X線検査 : 肩関節の位置を確認するためにX線を撮影します。
  3. MRI: 脱臼に伴う軟部組織の損傷を確認するために、必要に応じてMRIや他院へ紹介してCTやMRAを行うこともあります。

肩関節脱臼の治療方法は脱臼の程度や患者の状態によって異なります。主に以下のような治療が行われます

1. 整復

脱臼した肩関節を元の位置に戻す手技で、整形外科の医師が行います。整復方法にはいくつかの種類があり、一般的には「Stimson法」などが用いられます。

 

2. 固定

整復後、肩を固定するために2ー3週間はスリングや包帯を使用します。これにより、肩関節を安静に保ち、回復を促進します。

3. リハビリテーション

脱臼後は、肩の可動域を回復させるためのリハビリが重要です。医師や理学療法士。作業補療法士の指導のもとで、段階的にリハビリを進めます。

リハビリの肩関節脱臼や後遺症の肩関節不安定症の検査を紹介します。
Apprehension test(アプリヘンジョンテスト)

Sulcus sign(サルカス徴候)

load&shift(ロードアンドシフト)


日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(JSS Shoulder Instability Score)

JSS

これらの検査を総合的に考え、治療を行っていきます。

4. 手術

重度の脱臼や再発を繰り返す場合、手術が必要となることもあります。たった一回の脱臼での20歳代前半までに生じた場合は、その後もスポーツを継続する人や職業によっては手術を薦めることがあります。一回脱臼した場合、反復性肩関節脱臼に移行する確率は80%以上と非常に高いと報告されています。そのため手術は、関節の安定性を向上させるために行われます。
 MLBでダルビッシュ有選手の所属するサンディエゴ・パドレスのスーパースターであるフェルナンド・タティスJr.も2021年に4度も左肩を亜脱臼し、22年9月に手術に移行したケースもあります。

肩関節脱臼の予防とリハビリ

肩関節脱臼を予防するためには、以下のポイントに注意することが大切です。

  • 肩関節の安定化 : 筋力トレーニングやストレッチを取り入れて、肩の周りの筋肉を強化や肩関節の固有感覚を養うトレーニングを行います。
  • スポーツ時の注意 : 激しい接触のあるスポーツを行う場合は、適切な防具を着用することが推奨されます。
  • 再発防止 : 脱臼の既往がある場合、再発を防ぐためのリハビリ体操を継続することが重要です。

リハビリには、筋力強化や柔軟性を高めるエクササイズが含まれます。各動作やスポーツ等の固有の動作や課題に応じた個別のトレーニングを行い、肩関節の安定性が向上させ、再脱臼のリスクを減少させることができます。

まとめ

肩関節脱臼は、スポーツや日常生活で発生しやすい怪我ですが、適切な治療とリハビリを行うことで、回復が可能です。症状の早期発見、適切な診断、そして効果的な治療が重要ですので、もし肩に痛みを感じたら、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

肩関節脱臼に関する理解を深め、日々の生活やスポーツを楽しむために、ぜひこの記事を参考にしてください。